第56代理事長 平野 智也
【はじめに】
私は2013年(春)鈴鹿青年会議所に入会した。入会当時、私は目的や参画意識は薄く、先輩の誘いも自分の都合を優先していました。
当時の諸先輩方の配慮にも気づけず、自身の「ものさし」で周囲の環境を評価していました。しかし、初めての理事をさせていただいたときに、「これくらいしておけばいいだろう。大人だから伝わるだろう。」と自分の小さな「ものさし」で勝手に相手の器量を推し量り、委員会運営を進めた結果、諸先輩方から叱責され、苛立ち、悔しい思いをしました。その時は、叱責されないように取り繕うことに精一杯でしたが、とある先輩から「相手の立場にたって考えてみて」と言われ、今まで自分が青年会議所活動に何不自由なく楽しく参加できていたのは、相手に対する配慮が自分の「ものさし」でしか見えていなかったことに気づかされました。叱責されている状況に疑問を持つのではなく相手が何を考え、何を訴えているのかを考え理解できれば、腹が立つより先に素直に指摘を聞き入れ感謝することが出来たはずです。今、思い返すとこの1年間が大きな一歩となりました。このような、考えに至ったのも、青年会議所で様々な挑戦の機会をいただいたからこそ、自身の経験値が増し、さらには自己成長に繋がったのです。挑戦しなければ失敗することはありません。挑戦し続けることで得られる経験や成功体験が必ずそこにはあります。全会員が一歩を踏み出すことのできる青年会議所であるべきです。
【人間力向上について】
人間力とはなんだろうと考えることがある。私は、社会で力強く生きていくために自立した一人の人間が持っている総合的な力のことだと考える。しかし、この定義は難しい。そうさせているのは、「総合的な力」という部分であり、様々な要素や能力が集まって、ひとつの人間力を形成しているのである。例えば、人間力を形成していく中で心を磨くことが必要だ。心は感動することで磨かれる。本を読んで考えさせられたり、映画を観て涙が出てきたり感動することで、人の心は自然と豊かになっていく。豊潤な心を持っている人は面白みがあり、行動や言動に余裕がある。人間力の中核は心であるといっても過言ではない。また、社会に生きている限り、私達は常に他人と関わり続けなければならない。どんなに人と触れ合う機会の少ない仕事でも、結局は他人とのやりとりで始まり、他人とのやりとりで終わるのは必然だろう。人間力の要素にコミュニケーション能力が必要不可欠な理由も頷ける。
人間力を形成する要素は様々であり。例え1から10を身につけたからといって、そこで終わりではない。年齢や経験を重ねるごとに、数で表せないほどの要素が次々と必要になるだろう。だからこそ、私達は常に自分に対して不満足でいるべきである。そのためにも、終わりのない努力を実施していかなければならない。会員同士の繋がりを強固にし、本音で語り合い、切磋琢磨することで、自身の深化を追求し成長してまいりましょう。
【青少年育成について】
とある休日、子供たちと遊びに行った先で考えさせられることがあった。そこには、外国人の子供や、身体に障害のある子供たちが一緒に遊んでいた。国籍や肌の色、身体の特徴で区別することなく子ども同士楽しそうにしていた。子供たちの安心・安全を確保しようとするために枠組みを作ろうとするのは私たち親世代だけであり、子供たちにはその固定概念がなく、そこで子供に自分はボーダレスの「本質」を教えられた。
青少年育成はその「一瞬」が大切だ。自らが見せる大人の背中は常に模範と言えるなだろうか。いくら大人が表面的に取り繕ったとしても、子どもたちはその本質を即座に見抜く。子どもたちは正直である。そう「認識」し常に行動してまいりましょう。
また、私たち青年会議所は、将来、地域を牽引する人材を育成するために、これまで生活環境等から事業への参加が困難であった青少年にも積極的にアプローチを試み、ボーダレス社会の実現に向け青少年健全育成における事業展開を推進していかなければならない。青少年の主体的な課題解決能力と自己肯定感を高め、青少年が夢を描くことができる鈴鹿市の未来を実現していきましょう。
【拡大について】
私たち青年会議所は40歳までという年齢制限がある制度です。この制度により、常に若い力を発揮し、未来に向け前進を続ける団体としてあり続けることができる。そして、持続可能にしていくためには、我々の理念に共感をいただく会員を拡充することが必要であり、会員拡大をしていくうえで、広報活動は要の一つである。 広報活動は、地域の皆様に青年会議所の事業やその想いを届ける手段であり、今必要とされる広報活動を調査し追及しながら活動を推進してまいりましょう。
また、広報活動により、青年会議所に興味を持っていただいたとしても、そこに携わっている我々の知識やおもいが不十分なものでは魅力を伝えきれない。まずは、青年会議所という団体がどのようなものか、そしてどのように地域に貢献をしてきているかを我々会員一人ひとりが今一度深く理解しその意識を会員同士共有できれば、幅広く伝播できると考える。全会員が誇りをもって行動していきましょう。
【まちづくりについて】
私たちが唱えるまちづくりとは、インフラ整備や行政サービスだけではなく、地域の住民が住まう地域に愛着を持ち暮らす若者主体の活気あるまちであるための仕組みづくりが重要である。しかし、完璧な仕組みは存在しません。先ずは課題を探求、計画実行し、成果に至るプロセスを追求する。それこそが、青年会議所が行うべきまちづくり運動である。
また、1990年代後半に生まれたデジタルネイティブと言われる「Z世代」が成人を迎えます。歴史を振り返ると、明治維新や日本が誇る大企業の創業者、GAFAM等、社会を変革してきた方のほとんどが20代までの若者であり、「あるべき姿」を思い描いた若い人材が時代を築きあげてきた。これらを踏まえ、これからの日本経済をつくる若者が「あるべき姿」を思い描き一石を投じ続ける事が未来に向けて重要である。今後、鈴鹿のまちづくりに向け、若者が主体となり行動できる仕組みづくりを考え、これから社会で活躍する若者達と愛着あるまちづくりに寄与する運動展開をしていきましょう。
【組織運営について】
不確実性な時代だからこそ組織としてミッション・ビジョン・バリューを明確にし、組織内に共有された強い組織運営を行わなければならない。まず、鈴鹿青年会議所の存在価値を高めていくうえで広報活動は今後、最も重要である。現在の広報媒体を見直し、広報戦略をたて仕組みづくりを構築し、広く理念や運動を発信していくことでより多くの共感を得る事ができる。鈴鹿青年会議所自身のブランド価値を高める為にも、様々な情報発信手段の中から適切な手法を選択し、広報活動につとめてまいりましょう。
また、法人格の組織として、これからも地域に認められる団体であるために、地域に根差す団体としてどうありたいのかを見つめ直し組織運営に取り組まなければならない。財務管理はもちろんのことコンプライアンスの順守やカウンターパートとの連携など様々な分野で組織力強化につとめていきましょう。
【持続可能な青年会議所であるために】
地域から必要とされる団体であるために、鈴鹿青年会議所は設立から今日まで、56年という歳月の中で数多くの諸先輩、同志のおもいで紡がれてきた歴史である。今日、私たちが青年会議所運動を通じて得る喜びや不満、誇りや危機感など、あらゆる感情は全て、この壮大なる礎の上に生じている。「過去」、「現在」、「未来」という異なる時間は、それぞれ私たちに与える意味合いもまた異なり、「過去」は振り返るものであり、私たちは参考や教訓を学ぶ。「未来」は思い描くものであり、私たちは行動の原動力を手にする。「現在」は実感と行動そのものを意味する。未来を見据え、いま必要とされる団体であるために進化し続けましょう。
昨年22名もの新入会員が入会されました。新たな仲間の入会は、組織に新しい発想や価値観、刺激をもたらすが、発信できる機会が無いと新しい風が巻き起こらない。新入会員のみならず会員各々が活き活きと活動に取り組みたくなる組織になるべきである。会員一人ひとりが必要とし、必要とされる、相手を思いやり思いあえる組織であってほしい。
また、いまの地域に必要とされる団体であるために過去を振り返り、不変的なものと可変的なものを精査し更新できる組織でなければならない。青年会議所会員として、既存のルールや制度の理解を深め、未来を見据え様々な議論をしていくべきである。
自分たちが属する組織の過去を知り未来を思い描き、今出来ることを真剣に議論し行動していきましょう。
【結びに】
青年会議所がすべてではない。しかし今の自分があるのは青年会議所に入会したからだと胸を張って言える。周囲に変化を求めるのではない。まずは自分が変化しなくてはならない。 他者の言葉で自分の気持ちが変わり、自身の行動が変わった。「他人の言葉が自分の心に響けば、感情が変化し、行動が変わり、そして自分が変わる。」
青年会議所は知る機会、考える機会、行動する機会、そして、挑戦し経験する機会を与える団体である。しかし裏を返せば、青年会議所は機会を与えるだけの団体でもあります。会員各々が与えられた機会を選択し、それを自らの人生にどのように生かすかは個人の自由です。青年会議所活動を通して得られるものが、各会員それぞれで違うというのも、青年会議所活動の醍醐味です。
自身も変化して気づいたことではあるが、尊敬できる人からの言葉、行動、おもいというのは素直に心に響くでしょう。自身の意識を変化し向上させ、自分に影響力を持つことで、周りの意識向上が出来ると考えます。それは、社会的な地位ではなく、個の影響力です。日頃より活動を支えていただいている家族や会社の方々に対し、私たちの運動を深く理解していただく事も重要であり、一番に運動を届けてほしいと強く願います。会員一人ひとりが青年会議所の意義や魅力を伝えて参りましょう。